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「伝統と革新」を標榜し今の時代に異彩を放つBMW R18と、
さまざまな領域において独自のスタイルで活躍する18人とのコラボレーション。
記念すべき第1回は、パンツ専門のオーダーメイドで世界中から脚光を浴びる
五十嵐トラウザーズ代表・五十嵐徹氏とBMW R18公式アンバサダー佐藤陽子による対談です。
今月行われるMottorrad Setagayaでのインストアライブを前にした二人のトークをお楽しみください。
五十嵐 徹五十嵐トラウザーズ代表
1987年生まれ。2006年、大学在学中に服づくりの修行をはじめ、2014年Igarashi Trousersを創業。2018年に山梨に本社移転をし、法人化。現在Igarashi Trousers、Ignoreの2ブランドを展開している。ものづくりを通じて、「新しい価値と楽しみを提供する会社」を目指し、現在国内大手セレクト
ショップや、世界7カ国でブランドを展開している。
佐藤 陽子BMW R18公式アンバサダー
BMW Motorrad の造形美、機能美に惹かれ、美容業界から転身して、この世界に。好きになるととことん、という性格からか、Motorrad でも珍しい認定アクセサリーアドバイザーの資格を得るなど、Motorrad の世界観を伝えるために様々な活動を展開中。2022年からは、自社マーケティングや、
R18アンバサダーを努めるなど、より多くの人にブランドを体感して頂けるよう、日々活動中。
  • -1. 五十嵐トラウザーズをはじめたきっかけ
  • -2. パンツのおもしろさとむずかしさ
  • -3. 「ぜったい失敗する」ビジネス
  • -4. あえて「パンツ」で勝負する意義~伝統と革新~
  • -5. 目の前のお客様と向き合うこと
  • -6. 五十嵐流メンタルの保ち方
  • -7. 目指しているのは「職人の再生・産業の再生」
  • -8. R18の魅力について
  • -9. Relation18いよいよ始動!~インストアライブ予告~
-1. 五十嵐トラウザーズをはじめたきっかけ

まずは、五十嵐さんがこのお店というか、この事業を始めようと思われた
きっかけを教えていただけますか?

すごい単純なんですけど、昔から服とクルマ、乗り物がすごい好きで、
どっちかを仕事にしたいと思ってたんです。

服と乗物…この企画にぴったりです(笑)

もともと、父や兄がクルマ好きで、子どもの頃からクルマや乗り物に触れて育ってきたんですね。
なのでまずはクルマかなと思ったんです。
ただ、2歳上の兄が、細身でイケメンで…。
高校1年の時、兄が学校のミスコンならぬミスターを獲っちゃったんですね(笑)
で、兄に注目が集まった時に、え、弟これ?ってなっちゃったんです(笑)

あー、つらいですね…

ずっと比べられて育ってきて、彼に勝つなら何か?と思った時に
おしゃれなら負けないかも、と。
勉強はできなかったんですけど(笑)、好きなことならがんばれる。
なので高校の時から兄に負けたくない精神で、服の勉強もしてきたし、
服を買うのも好きだったし、服って楽しいなという想いがあったんです。

わたしも実は3歳上の姉がいまして、その姉も勉強できて、きれいで、けっこう比べられて、
あなたは劣等生だねーって(笑)
でもわたしは姉に勝とうとかって思わなかったですね。男子ならではなのかな?
そのおしゃれ好き・お洋服好きの青年が、服屋さんになろうと思ったのはいつごろなんですか?

大学2年生の時なんですけど、その頃アメカジがすごい流行った時で、
僕はぜんぜん好きになれなくて、服屋に行っても買うものがなかったんですね。
「買うものないなら作っちゃおう!」と思ってそれで作り始めたのがきっかけです。
でも、作れば作るほど難しすぎて…。
その時に、学校に服飾を学べる学科があることを知ったんですよ。
ハイファッションの伝道師的な方が講師をされてたんですね。
これはチャンスだなと。
で、授業に潜り込んで、教えてもらって、というのでちゃんと学び始めた。
服を作る道具、ハサミからミシンまで、縫製に必要なものはぜんぶバイトして買いそろえました。
服職人としてのスタートですね。

-2. パンツのおもしろさとむずかしさ

服と言ってもいろいろあるじゃないですか。
なぜこのトラウザーズをやろうと思われたんですか?

大学を卒業してから服作りの修行に入ったんですけど、
実は学生時代から自分でブランドをやってまして、それを卸してたりもしてたんですね。
その時から、上着もパンツもジャケットもむずかしさはそれぞれあって。
例えば、上着って、ボタンはずしても着たり脱いだりもできるじゃないですか。
でもパンツって1回履いたら脱がない。

確かに。そりゃそうだ(笑)

上着はいろんなパーツありますけど、パンツって4枚の布、前2枚後ろ2枚からできてて
すごいシンプルなんです。シンプル過ぎてむずかしい。
5ミリとか3ミリの違いで履き心地が全然変わるんです。そこがおもしろい。
上着もやったしシャツもやったしパンツもやったんですけど、いちばんむずしいと思ったのがパンツ。でも、むずかしいことの方が突き詰め甲斐があるじゃないですか(笑)
ごまかしがきくところがないんで、そのむずかしさがおもしろさに変わって
これをやりたいって思った理由です。

なるほど。パンツってそんなに変化しないものですね。
足が時代の変化で3本になったりとかしないですし…
その4枚の布という制約の中で、おまかせで作って!って言われたときに
パンツでそんな新しいものを生み出せるものなのかなって思うんです。
そんなに奇抜なものって上着と違ってむずかしいんじゃないかなって。

そうですね。奇抜なものを作ったとして、履いてるその人は満足でもその人が恥をかく可能性がある。
僕らとしてはおすすめしないですね。
やっぱりできあがったものは周りの人から良いって言ってもらえて初めて価値が得ると思っているので。
新しいものでありつつ周りから評価してもらえる。
その塩梅をどうするかは僕らの仕事だと思ってます。

-3. 「ぜったい失敗する」ビジネス

修業時代を経て、僕はこのパンツ、トラウザーズで独立したいって思ったんですね。
ただその時、当時の職人の知り合いとか先輩とか友達とか、文字通り、
全員から止められたんです(笑)絶対うまくいかない。いくはずがないって。
もともとこの業種って昔から失敗すると言われてきた業種なんです。

でも敢えてそれをやる、と。

全員が止めるってビジネス的にチャンスじゃないですか。
ここでうまくいったら、後から新規参入はむずかしいから先行者利益が取れる。
じゃあやるべきだな!って。
僕らが独立する直前は、上着や靴にはおカネは払うけど、パンツはファストファッションでいいよね、とかそういうのが普通の時代だったんですよ。

あー、何となくわかります。パンツって脇役と言うか
最初に人を見る時やっぱり顔だったり上半身だったりするので
いきなりパンツを見る人っていないよなと。

そうなんですよね。服屋としては不利だったんですけど、でも、その時ラッキーだったのは、
独立するちょっと前にクールビズというのを政府が打ち出して、
ジャケット着なくてもいい夏になったんです。

ありましたありました!

その時に、服好きの人・おしゃれ好きの人って、もちろんスーツはおしゃれの一つとして着るんですけど、仕事の時に着なくていい、となった時に、何におカネをかけるかというと、そこでパンツが脚光を浴びる。
ラッキーなタイミングでもあるし、今だとオーダーするのって普通だよねっていう
文化になりつつあると思うんですけど、そのきっかけになった時期でもあったんですね。
ラッキーとタイミング。あと、みんなが欲しいと思えるものを作れる腕があった。

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