• SHARE
  • Share to X(Twitter)
  • Share to Facebook
-6. 五感で楽しめるデザイン
五感で楽しむためのデザイン

バイクって、クルマと同じくエンジンで走る乗り物なんですけど、クルマと違うのは五感で楽しめる乗り物という点ですね。特にこのR18はそうなんです。

さっきちょっとおっしゃってましたけど、そこも焚火と似ています。
自然そのものがダイレクトに感じられつつ、操作もいろいろできるので。
自分で操ってる感もとてもいいんです。

ああ、乗ってみるとまたいいですね…。
デザインに携わる者としての印象は、全体的にがっしり骨太な感じが、安心感というか信頼感があるなあと思ってたんですが、乗ってみるといろんな発見がありますね。

各所に昔ながらのデザインが活かされてるんですよ。

ムダなものがないんだなって強く思いました。
この焚火台もムダなものがなくて、すべてのディテールには役割がきちんとある。
装飾として何となくかっこいいから付けたというものはなくて。
おそらくこのバイクも、ちょっとした厚みや出っ張りにもぜんぶ意味があって、それらがまとまって1台のバイクになってる、っていう印象です。

デザインって装飾するものではなくて、動くものがデザインになってるんだ、と。
動くものにデザインは宿るんだっていうデザインポリシーなんだそうです。
一言で言うと機能美、みたいなことなんですが。

そういうとこもドイツっぽいなって思います。機能から始まってデザインになる、というか。
バイクで機能美を追求していくとこれになるのかなって。
デザインの自由度をあげると加工の工程としてはめんどくさくなるんだろうけど、ちゃんとデザインを活かしつつ、頑健な作りなんですね。デザインと機能が一体化してる感じがすごくいいです。ちゃんと受け止めてくれる形というか。
見た目の安定感が必要とされるっていうのも共通項ですね。

いちばん重いパーツのクランクシャフトっていうのが一番下に付いてるんですよ。
普通のバイクはエンジンが上の方に付いてて、ただでさえ不安定な二輪の乗り物なんですが、このR18はエンジンの置き方、形態としても究極の形、理想の形なんじゃないかと言われているんですよ。

重心というのも考えてあるんですね。曲がりやすかったりもするんですか?

そうなんです。乗り方も、速く走るバイクは前傾姿勢でおしりが上がった姿勢で乗るんですけど、これはそれとは真逆ですごくラクなんです。

重心が下にあることでブレがないっていうことなんですね。
走ってると真下から振動とともにエンジン音が伝わってきたりするんですかね。それもすごくいいな。

伝統も活かされてるんですけど、最新の人間工学も入っているので、乗ってて心地いいか、つらくないかという乗り心地もデザインされているそうです。あと、心地いい音になるようにエンジン音もデザインされてるんですよ。

この焚火台も、組み立てる時の音が好きっていうユーザーさんの声もあって、鉄独特の響きもあるし
薪がはぜる時に鉄にあたって高い音が出る時とかもあって、ああいいなあって。

-7. 伝えたいこと
実現したいこと

松永さんは焚火台から始めて、火吹き棒にいって、
これからどんな風にやっていこうとかあるんですか?

正直あんまり考えてなくて…自分で欲しくなったらまたそれを作って、みたいなことかなあ(笑)
でも、それでいいのかなって思ってますね。
今いろんなビジネスの形が出てきて受け入れられてると思うんですけど、大規模になれば成功っていう時代ではなくなってきた、と感じています。
なので自分の身の丈に合ったビジネス展開ができればそれでいいって。

モノを作って売るだけじゃなくて焚火の教室もやってらっしゃるんですよね。

ちょこちょこやっていて、焚火が広げられればなって。
まず焚火をする人が増えないとわれわれ焚火業界が広がらないですし、このところブームですけど、火と同じで放っておくと消えちゃうんで。
さっきエンジンの話の時もふれましたけど、火という自然現象を自分たちのために利用するって、人間の根源的な行為じゃないですか。火の力を利用することでこういったバイクもできてきたわけで。
裸火を利用するっていう体験を子どもたちに体で感じてほしいなと思っています。

今の子どもってマッチを知らないんですよね。
昔は家に必ずあったのに。

生活の中で使わなくなりましたね。焚火教室でもマッチの使い方がわからない子供もいて…。
焚火教室って言ってますけど、実は焚火のやり方なんてどうでもよくて、そこは本質じゃないと思ってるんですね。焚火台がどうこうっていうのも本質じゃなくて、人間が火を利用するっていう体験がいいんじゃないか。そのきっかけとして、焚火って有効なんじゃないのかなと。ちょっとおこがましいのですが。

-8. 自分と向き合う時間

来月はMotorrad世田谷にお越しいただいてライブトークをやろうと思うんですが…

焚火教室をやって火を起こしたいですけど、そういうわけにはいかないですね(笑)
ほんとはR18と焚火に出かける、というのがいいですが、そういう楽しいライフスタイルの提案、何か体で感じられる体験みたいなことができればいいなと思っています。
自分の好きなバイクで好きな場所で焚火して帰ってくる。それだけで十分、贅沢な時間の過ごし方だなあって。

焚火台とR18、そして、焚火で火を見ることとR18に乗って走りを楽しむことって、ほんとに似てるなって思ったんですね。

それ自体が目的というか楽しみというか。それを実現する道具であって、でも存在として、機能美として、とても美しいという。

ドコドコいう音を聞きながら、操作に集中はしてるんですけど、自分の今日の気持ちどうなんだろ、今の自分ってどんな感じだろうって。
自分を解いてる時間。火を見てる時みたいに、自分を見てるバイク。
そう思いました。

モヤっとしたときにちょっと出かけて、自分と向き合ってたり開放したり整理したり、帰ってきたらちょっとすっきりしてる。
1週間前からがんばって準備して、とかじゃなく、今日みたいにちょっと焚火台積んで出かけて、焚火を見て帰ってくるみたいなの、とてもいいですよね。
バイクの免許取りに行こうかな(笑)

私は火の起こし方、練習しようかな(笑)

BACK TO TOP