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-3. 足し算のプロダクトデザイン?

この焚火台って、そぎ落とされたデザインって言われたり、引き算のデザインって言われたりするんですけど、僕の中では足し算で作ってるんですよ。
まったくのゼロから考えて、焚き火ができるなら、モノの最小限の単位の「点」、何か粒のようなものでできるならそれでいい。そういう発想から始めたんです。

(…目が点…)

でも、点というか粒じゃどうしても焚火はできない。じゃあ「面」、板にしてみるかと。
そこに薪を置いて火をつければ焚火ができる。よし、と。
でも板だと火を置いたら曲がってしまう。じゃあ強度のことも考えて板を曲げてみようかということで、直角のブックエンドみたいな形の図面を描いてみたんですね。
こうして今の焚火台の形になっていくんですけど、最初は鉄板を直角に曲げたもの。これが焚火をやる最小限なんだなと。
で、これを支える部品があったほうがいいな、と。
3dCADにこれをポンとコピーして、図面の中で2枚重ねてみたんですよ。
これを切り分けて脚になるじゃないか。収納もできていいじゃないかと。

この脚が付くとオブジェみたいですよね。どの角度から見ても美しいですね。

はい。
実は真横から見たシルエットがプラチナ比になってるんです。
火を扱うので安定感を感じたいのもあったし、単にしっくりきただけだったんですけど、全体のシルエットとしてはそうなってる。

発想を拡張しながらアイディアを足していって、一応ここで完成ということになったんですね。

まあそうなんですけど、こんどはこれがバラバラにならないようバインダーを付けたほうがいいなと。で、このバインダーが五徳や火箸になるじゃないか?と。

足し算が続くんだ!

で、一応、焚火台のセットは完成したんですけど、ブランドとしてはロゴを入れようかと。
でも、どかどか文字が入ってたら、なんかじゃまになる。
使う人が焚火を楽しむためのもので、その時間をちょっとでもじゃましたくない。なので、ロゴは見えないところに付いてるんです。

ああ、ここにひっそり付いてますね(笑)

一応うちの子ですよという主張はしてて、暗闇で焚火をしてるとぼやっとは見えるんですけど、本当は見えなくなってほしいと思ってる。その人の焚火の時間、その人が作る楽しい空間でロゴは目立たせたくないんですね。
その時間や空間には、その人のロゴが付いているべきだと思うので。

-4. この焚火台はR18そのもの!

松永さんの中で、焚火台のいちばん重要なポイントって何ですか?

実は焚火「台」が重要ではないと思ってるんです(笑)
本質的には焚「火」が楽しめればいいんだ。それ以上はいらなんだ、と。
焚火「台」を突き詰めていくと、燃焼効率とかの話が出てくるんですよ。
よく燃えるとか燃えないとかいう問題。
この話のいきつく先は、焼却炉として優秀かどうかみたいになるんですね(笑)
僕としては、自分で工夫してうまく燃やすっていうところに焚火の楽しさがあるって思ってて、
燃やすこと自体を楽しむことに焚火の意義があると思っています。

あー!それってR18じゃないですか!R18ですよこれ!
だってバイクもバイクだけじゃ成り立たないんですよ。
バイクに乗る人が楽しんだりワクワクしたり、ああこの風が気持ちいいなとか思うからこそなのに、
バイク選ぶ時ってそこじゃなくて、スペックとかを見ちゃうんですね。

そこは重要だけど、すべてじゃないんですよね。
あくまで人間が使う道具。使う人によって楽しみ方は変わるよねって。

R18ってまさにそうなんです。スペックだけじゃないよねっていうバイク。

僕がユーザーさんに得てほしいものっていうのは、焚火を楽しんでもらう時間とかそれがある人生とか
そういうところに満足感を感じてもらいたいんですよね。
モノだけじゃなく、そういう提案ができないと[flames]っていうブランドが存在する意味はないんだろうなって。
という流れでこれが出てくるんですけど…。

これはファイヤーブラスター、火吹き棒なんですけど、ぜんぶ手作りで、ぶっちゃけ儲からないレベルで時間と手間をかけてるんです(笑)
ユーザーさんが焚火をする時にこれを使って炎を育てるわけです。
つまり、「一緒に炎を育てていきましょう」っていうメッセージを込めて、ブランドのストーリーにしているんです。
きっとR18も、モノとしてのバイクだけでなく、そこから見える景色だったり時間だったり、そういうものを提案していくんだなって。
そういう点で共通しているところもあるんだなと思います。

このRelation18という試み自体がR18というバイクを楽しむことの一環なんです。

焚火とバイク。この焚火台とR18。いろいろと重なりそうですね。
あ、そろそろ日も暮れてきましたし、河原に移動しましょうか。

-5. 夕焼け、焚火、贅沢な時間

すごくお空がきれいだー!

火、起こしますね。

火ってすごいですね。
照らすし、温めるし、あとお肉とかも焼けるし(笑)

焚火のどこがいいんですか?ってよく問われるんですけど、実はよくわかんなくて…
なんかいいんですよね(笑)

火を起こしただけで、一瞬で非日常になりますね。
うちはオール電化なので火を見るの久しぶりです。

そうなんですよね。暮らしの中から火を見る機会が減ってる。

あ、匂いもいいですね。薪が燃えるパチパチいう音もいい。
熱も感じられるし、…五感で楽しめるんですね。

燃やす木の種類によって炎も香りもぜんぜん変わってきますね。鼻でも楽しめる。

夕日が…ああ、刻一刻と表情を変えていきますね…
夕日もある意味、炎ですね。

さっきも思ったんですけど、この焚火台とR18って似てるなあって。 「伝統と革新」というテーマでこのバイクは作られてるんですけど、BMWが来年100年を迎えるんですね。それで、100年前に初めて作ったR5っていうバイクをオマージュしてるんですよ。 でも焚火の歴史とかはもう100万年ですね(笑)
(※人類が「火」を利用するようになったのは約180~80万年前と言われています。)

でも火を扱う歴史の中でエンジンというものも出てくるわけですよね。
人類が火で動力を得た、という。

たしかに!でも、100年の間、その時々のライフスタイルに合わせたいろんなバイクを作ってきて、100年後にたどり着いたのが、とてもシンプルで、バイクそのものみたいなモデルだったんです。
とにかく速く走れるバイク、仕事に使えるバイク、目的地に疲れずに早く着くことができるバイクとか、いろんなバイクがあるんですけど、R18はそのどれでもなくて、バイクの鼓動感をダイレクトに楽しめるバイクなんです。
…ちょっと乗ってみますか?

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