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-4. セールスの楽しさと難しさ①
~バイク・ソムリエ!?~

バイクでも、自分のバイクを買う前にテストライドしたりするんですけど、
あれもこれもと何台も乗ってると絶対ボケるんですよね。
だから同じ車両のクラス違いを試乗してみる、とかをおすすめしてます。
どっちの乗り味が自分に合ってるか。
ただエンジンが違うバイクを乗り比べても、
それこそワインと日本酒をごっちゃに試飲するようなもので
ワケが分からなくなるんですよね。

確かに違うジャンルのお酒を同時に試飲すると分からなくなりますね。

だから、お客さんがあれとこれを試乗したい、とおっしゃっても
止めちゃうんですね。
試乗することだけを目的で来てるんだったら、
「どうぞどうぞ!」って言うんですけど(笑)
でも、欲しい人、買いたい人だったら、僕はこれをあなたに勧めたいです、
あれこれ試乗する前にまずこれに乗ってください、って言って、
それでも気になるということなら乗り比べてみてください、と。
で、その後、「やっぱり佐藤くんが言う通りだった。最初のやつにする!」
ってなった時は結構うれしいですね。

「バイクのソムリエ」みたいな(笑)

あ、そうかもしれない(笑)
バイクなんて工業製品だから、世界中どこでも売ってて、
お客さんはどこでも買えるんですよね。
そこを、お客さんにとってのオンリーワンにならなくちゃいけない。
僕から買ってもらうっていう意味づけをすごく大事にしています。

まったく同じですね。お酒もそうです。
例えば満寿泉のお酒は他の店でも売っているわけですよ。
それをうちで買ってもらうっていうのが重要で。

やっぱり販売されている立場からすると、
例えばこういう料理に合うはお酒って何がいいですか?とかって
聞いて欲しいものですか?

そういうのをいろいろ聞いて欲しいんですよね。
まずは甘口が好きか、辛口が好きか。サラとしたのがいいか、
香りが華やかなのがいいか。
コクがある方がいいけど香りは穏やかなのが好きだ、とか。
で、その情報の一つとして、今晩これを食べるんだけど合うお酒は何ですか?って
聞かれるとすごくおすすめしやすいです。
いきなり来て「美味しいお酒ください!」って言われると困っちゃう(笑)

ですよね。そこもまったく同じです。
どういう使い方ですか?バイクに何を求めてますか?って。
じゃあ今まで何を乗ってらっしゃいましたか?っていう情報。

僕だったら普段何を飲んでいらっしゃいますか?とかですね。
お酒とバイクって、実際は組み合わせはいけないものだけど、
すごく共通点が多いですね(笑)

外国の方とかもよくいらっしゃると思うんですけど、
日本酒飲んだことがないんだけど、何飲めばいいかしら?っていう、
それこそ漠然とした質問とか来たりしないですか?

とりあえず、「スウィートタイプとドライタイプどっちが好き?」くらいは
僕も喋れるんで、それがわかれば何とかなるかな、って感じですね。
ありがたいことに最近はスマホの翻訳アプリが活躍してくれて、
いろいろやり取りしてます(笑)

でも味覚の表現って難しいですよね。

そうなんですよね。国によって言葉のニュアンスが違うんですよね。
それこそアメリカ英語、イギリス英語、あとフィリピン英語とかで
ニュアンスが変わっちゃうんで、すごく難しいです。
で、スウィートタイプとドライタイプと言っても、その甘さ、
甘いと感じる基準、辛いと感じる基準がやっぱり
そのお国によって違ってきたりする。
例えばフランスの人がフランスワインを基準に考えた時に、
そこから甘口だの辛口だのって言われても、
やっぱり日本酒にうまく当てはまらなくなるんですよね。
だから外国のお客さまにお酒をすすめるのは
なかなか難しいものがあります。

-5. セールスの楽しさと難しさ②
~稲が飾ってある酒屋~

さっきから気になってるんですが、あれなんですか?稲?

あれはお酒を造るお米の稲です。
山田錦っていう品種がお酒を仕込むのにいちばん良いとされているんですが…

ああ、山田錦…聞いたことあります。

それって渡舟(わたりふね)っていう品種と山田穂(やまだぼ)っていう品種を
掛け合わせたものなんですね。
で、右が父方にあたる渡舟の稲で、左が母方にあたる山田穂の稲。
掛け合わせたのが真ん中の山田錦の稲。
希少なものなんですが農家さんからいただいてきたんです。

へー!これがそうなんだ。

もともと、山田穂でお酒を作ると美味しいっていうのは分ってたんですけど、
ご覧の通り、稲の背が高いんですね。
農家さんとしては倒れやすくて育てにくい。
これ何とかならないか?ということで、渡舟と掛け合わせることで
ちょうどいい塩梅の山田錦ができた。
今のところこの山田錦が最も優れているとされてますが、
各地の試験場でさらなる品種改良をやっているはずなんですよね。
そのうち山田錦を超えるものが出てくるかもしれない。

へー!そうなんですね!
日本酒好きの方でもそこまではなかなか知らないんじゃないですかね。

実際にお酒をおすすめするのに、お酒のお米ってこういう稲なんですよ、
っていうのがあれば、お客さんに話をしやすいですし、
お米作りがいかに大変か、お酒造りがいかに大変かっていう話もできる。
そうするとセールスもしやすいですし、
お客さまに大切に飲んでいただけるんじゃないかなと。

作り手は分ってるんでしょうけど、売り手が分かってて
お客さんにきちんと説明する、っていうのがいいですね。
勉強になるなあ…

そこが分からないとお客さんに伝えられないし、
そこはオートバイのセールスとも通じるものがあると思うんですよ。
分かってないと話にならない。

そうなんですよね。
作り手って、実際に原料を手にして加工して、って、
そこでいろいろ工夫とかご苦労があると思うんですけど、
売り手にはでき上がったものしかないんですよね。
でも、お客さまに説明して「欲しい!」って言っていただくためには
こちらとしては、いろんなストーリーを持ってなくちゃいけない。

作り手の思いを伝えなければ、とも思ってますし、
お客さまに買いたいと思ってもらうためには何が重要か、
ということはいつも考えてますね。
このお酒は辛口ですとかアルコール度数は何度ですとか、
スペックを説明するだけではダメなんですよね。

「このバイク超かっこいい!」から
「ちょっとマジで欲しい」になってもらわないといけない。
お酒もそうですよね。「いいなあ飲みたいなあ」から、
「買って飲んでみよう」って思ってもらわないと。

例えばBMWっていうメーカーは他のメーカーさんよりも
ラインナップははるかに多いんですよ。
なのでバイクが欲しいお客さまをカバーできる可能性は高い。
でも、その分、勉強するのが大変なんですよね。

でも、さっきも言いましたけど、僕はお酒好きだからこの仕事をやってるんで、
利き酒したり味見したりするのがやっぱり楽しいんですよね。
やっぱりオートバイも新しいモデル乗るのは楽しいんじゃないですか?

それはそうですね。
自社はもちろんですが、他のメーカーの車種でも気になりますし、
ライバルだけどやっぱりいいものはいい。

情報が出ただけでワクワクしちゃうでしょ?
次はこういうのが出るらしい!みたいな…

ですね!好きなことを仕事にできててよかったなあって思います。

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