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-4. ムダなものの魅力

クルマってけっこう実用的なものだと思うんです。
仕事で使うから、とか、家族が増えて必要になったから、とか。
しょうがないから買う部分もあるじゃないですか。
でも、バイクってほんと究極の道楽だと思うんです。
基本的には要らないんですよね。

そうですね(笑)

でもレストランも似てるんじゃないかと思うんです。
生きるためだったら、極端な話、それなりに栄養のあるものを食べてればいい。
でも、美味しいものが食べたい。それにお金をどんどん払っていく。
高いお金払ってでも、東京からわざわざ富山に行ってでも
食べたいっていう方もいらっしゃいますよね。

確かにただ生きていく上ではムダですね(笑)

究極の贅沢です。
でもそういうムダなこと、贅沢なことをしたいって思う人って、
やっぱりおもしろいんですよね。
お客さんにもよくおいしいところに連れて行っていただくんですけど、
そうやって付き合う方ってすごくおもしろい。

やっぱり佐藤さんは人に興味があるんでしょう。

ですね。鈴木さんもお客さんとお話しされたりするんですか?

そうですね。カウンターに座るお客さんには、様子を見て
話しかけたりするんですけど、お客さん同士で話がはずんでる時は
ご遠慮してますね。
でもたまにふらふらっと観光の方がいらして。
ここは入口を見るだけだと何の建物かわからないじゃないですか。
日本の方だと予約されて来られる方が多いですけど、
海外の方はふらっと入って来られて、ここは何ですか?って(笑)

自由だな(笑)

佐藤さんのお店は外国の方とか
いらしたりすることあります?

最近、外国の方のご来店も増えましたね。
中でもイタリア人の方が印象的で、
「ドイツのバイクでいいんですか?イタリアのバイクはどうですか?」って
聞いたら、すぐ壊れるからやだよ、って(笑)

でもそれが許されるのがイタリアで(笑)
僕も買うならやっぱり日本製かドイツ製がいいかな。

本当にそうですね(笑)

クルマもバイクもそうなんですけど、イタリア人ってちょっとおもしろいんですね。
やっぱりこう、仕事熱心な面と自分の時間を楽しむ面の2面性が同居してて。
遊んでいるようで仕事してて、仕事しながら遊んでいる、みたいな感じなので、
接しててもおもしろいですね。

-5. 岩瀬に来たきっかけ

富山に来て何年くらいですか?

もう10年ちょっとぐらいですかね。

他に行こうと思わない?

そうですね。やっぱり僕はここの岩瀬っていう場所で
働かせてもらう機会をもらったので。
ここでずっとやっていきたいですね。

東京に戻りたいとかは?

東京は東京で違ったおもしろさがあるんですけど。
食材に関してはやっぱりあちこちいろんなところ、
それこそ海外からも食材が集まってくる。
種類で言ったらおもしろいんですけど、やっぱり僕が
いちばん最初にチャンスをもらったのは富山県の岩瀬という
場所なので、やっぱりここでずっとやっていきたいですね。

岩瀬に来られたのはどういうきっかけだったんですか?

元々ここでやるのは、前のお店が富山に出店するということで、
家族を連れて転勤してきたんですね。 で、実際に生活してみると、
子育てする環境が整ってたりして、すごく生活しやすいんですよ。
で、お店を辞めて独立しようと思った時も、地元に戻らないで
こちらの方で研鑽させてもらおうって。 で、たまたま桝田さんと
お話しする機会があってご相談したのが最初のきっかけです。

桝田さん、どんな感じで来られたんですか?
ご本人は「自分で来いと口説いたことはない」なんておっしゃってたそうですが、
いろんなお話を聞くと、いきなり来て「合格!岩瀬でお店やりなよ!」とか
「じゃあお店作るの手伝ってあげるからおいでよ!」みたいな、
そんなエピソードをいろいろ伺ったんですけど(笑)

僕の場合は、僕の方からご相談に行ったんですよ。
この辺でお店を出したいと思っているんですけどって、僕の方から押しかけてったパターン(笑) 
だからちょっと迷惑だったと思うんですけどしつこく粘ったんです。

-6. 仕事の歓び

ここ、すごくいいお店ですよね。

そうですね。
まさかこういう環境でやらせてもらうことになるとは思わなかったです。
この敷地自体も元々古い廻船問屋の建物だったんですけど、それをリフォームして。
お隣は藤井さん(ふじ居 藤井寛徳氏 #16登場予定)という日本料理屋さんで、
こちらはイタリア料理店。
これだけの店内のスペースと庭もあって駐車スペースも8台から10台分ぐらいあって、
月々の家賃だったらかなり高額になると思うんですが、
それをかなりお安く貸してもらえるので、ほんとありがたい限りですね。

それで浮いたお金は何に充ててるんですか?

自分の好きな食材だったりとか調理器具に使ったり、ですかね。
そういった意味でも富山に来てからの方が仕事が楽しくなりました。

仕事が楽しいってすごくいいですよね。

佐藤さんはお仕事辛いですか?

僕も仕事は楽しいですよ!
って言うか、さっきのイタリア人の2面性が同居してる話と同じで、
僕も遊びが大好きなんですが、それが仕事にも活かせてるかなと。

ああ、それはいいですね。

逆に、鈴木さんはお仕事してて辛いことってあります? 
何かもう嫌だな、みたいな。

やっぱり雇われの頃は仕事中に腐ったりしてて親方にぶん殴られたりしたんですけど、
今は自分が親方なので好きにできるんですね。
これちょっと面倒くさいなと思ったら、気分転換に他のことをやってみたりとか、
自分のペースでできるので、そういった意味では楽しいというか、苦にならないですね。
自分の好きなことを仕事にしてるので、まあ面倒くさいなと思うこともあるんですけど、
考え方次第かな、と。これはこれで楽しいな、と思えますかね。
何でもそうですけど、表と裏があるので、暗い方を見るより上を向いた方が楽しめますしね。
見方を変えると苦にならなくなる。

参考にさせていただきます。
では仕事してていちばんうれしいことって何ですか?

やっぱりお客さんに笑顔で帰ってもらった時が
いちばんです。
この場所って、利便性からすれば決して交通の便がいいところじゃないじゃないですか。
お客さんに来ていただくにしてもベストな場所とは言えないですし。
なのでそういう場所でわざわざ足を運んでお店に来てくれて、
笑顔で帰ってもらえて、「また来るよ!」って言われると、
それがやっぱりいちばんうれしい。

ここのお店でご飯を食べて笑顔で帰らないことって
ないと思いますけど(笑)

そんなことないですよ。
ちくしょう!って腐って酒飲んだりすることもあります(笑)
佐藤さんのうれしかったこととか悔しかったこととかは?

やっぱり遠くからお客さんがいらしていただけるとうれしいですね。
バイクって工業製品なのでどこでも買えるんですよ。
で、近くにもお店があるのに、私のところまで買いに来ていただいたりするとすごくうれしいです。
もちろんぜんぜん売れない時ってあるんですよね。
販売ですからね。

そういう時どうするんですか?

逆に何もしないです。諦めます(笑)
あとは自分の持っているお客さんに、
「新しいバイクそろそろ欲しくないですか?」ってセールスかける(笑)
「ずいぶん直球だね」とか言われますけど(笑)

カリスマセールスマン(笑)

やっぱり私から買っていただけるというのは本当にうれしいです。
そういう意味では、本当にお客さんにずっと助けてもらってきたので。

ああ、それはいいですね。

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